『LOFT』 物語終了、そののち全員病死

『メッセージ』の感想書くつもりだったけど唐突にオールタイムベスト(といっても5本だけど…)を決めたくなった( ・∇・)

第5位はこれだ‼
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5位『LOFT』
監督 :黒沢清

あらすじ

春名礼子(中谷美紀)は有名な小説家だが、スランプで新作が書けない。体調も優れず、担当編集者の木島(西島秀俊)薦めで、東京のはずれにある立派な洋館に引っ越す。礼子は向かいの建物に何かを運び入れる考古学者の吉岡誠(豊川悦司)を目撃する。運んでいたものは1000年以上前のミイラだった!

皆大好き黒沢清作品ヽ(・∀・)
ほんとのこと言うとオールタイムベストとかどうでもよくて、単に『LOFT』の感想書きたかった。。
黒沢清の映画は2000年以降のはだいたい見ててどれも好きですね。微妙と言われがちな『リアル』も好き。ただ『ドッペルゲンガー』だけはよくわからんかった。。見てる間ずっとポカーン(゜〇゜;)とてしてた。黒沢ファンじゃない人は皆こんな気持ちなんだろうか。10年以上前にみたっきりなので、今見返したら楽しめるかも(´・ω・`)?

時空…捻れてね?
吉岡は洋館で女性の幽霊を度々目撃する。その女性は木島(編集者)が以前に担当していた小説家で、礼子の前に洋館に住んでいた。彼女は3年前から行方不明になっている。実は吉岡は木島が女性を殺す瞬間を目撃していた。木島がいなくなるのを見計らって、洋館に入ると彼女はまだ死んでいなかった!吉岡は本当は自分が殺してしまったのではと思い込むが…
木島は『クリーピー』の香川照之な感じのなかなかヤバい人。『クリーピー』では主人公補正かかって観客からしたらまともな感じもあったけど、多分奥さん(竹内結子)からしたら最初から木島みたいなサイコ野郎に見えてたんだろな。
クリーピー』見たときはあまり黒沢作品に合ってないと思ってたんですか、木島のようなキャラの時は輝いてますね。
と言うかここまで感想書いてきてミイラ全く出てないね。。正直『LOFT』大好きだけど、ミイラの話全く理解してません(´・ω・`)誰か教えてくだされ。
監督が映画作り終わったあとに『うーんなんか物足りない…ミイラも出しとくか(・∀・)』といったんじゃなかろうか。
ミイラと幽霊と礼子が存在する時空がそれぞれ独立してあって、映画の間だけたまたまそれぞれの時空が共鳴し合ってるとしか思えん。。短編『花子さん』でも、自殺した娘が花子さんとして復讐しに来るのかな…と思ってたらいきなり別次元から花子さん出てきた!(そしてロッカーもいきなり出てきた!)監督のこの同時に出したれ精神は…正直好きだ。
『花子さん』見てたんでミイラと幽霊が出てくるのはビックリしつつも、また同時に出しとるやん(^^)と余裕あったけどお互い全く関わらないのが衝撃的だった!なんで無視するん(´・ω・`)?ジェイソンとフレディが出てくれば普通殺戮が始まるでしょ。世界の真理を見せつけられた気がしてハッとした…幽霊とミイラは無視し合う。。『回路』でも幽霊が躓いてビックリしたした。自分が映画みて傑作だと思うのはこういうハッとするシーンを見たときですね。でもこういうシーンって不自然で、無い方が映画の完成度が高くなるとは思うけど…
ともかくミイラ(と幽霊)は出てくる。そして動く!一度動き出したミイラは誰かを呪わなくねはならない…

鏡の中の中谷みき
礼子役の中谷みきは美人すぎて現実感がないね。『リアル』の時はしゃべり方もおかしくなっていよいよ人間味がなくなってきた。というかこの人全然話に関係ないので笑いました(´▽`)木島にストーカーされたり、いきなり泥吐いたりするからいかにも物語の中心にいる感じだけど別に関係なくない?。ものすごいことが起こってる瞬間にたまたま居合わせてしまったとしか思えなくて深刻な顔してるだけでおかしい。幽霊役の安達祐実の方が人間味があるよ。。むしろ中谷みきが幽霊…冒頭で彼女が鏡を見ているカットは実は最後にあったものを後から冒頭に移した…となにかで聞いた(読んだ?)ことがあるけど、いい面構えですな( ´_ゝ`)
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物語終了、そののち全員病死(中原昌也)
嵐の中、礼子と吉岡が女性の死体を掘り起こそうとするとそこには…なにもない!安堵した二人がミュージカル風に抱き合って良さげなことを(説明的に)言い合ってるのが良すぎた!ほんとは何も解決してないとわかっとるけど、物語を無理やり終わらせるために大声で叫んでるようにしか見えない。ブニュエルの『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』に男女がお互いに良さげなこと言い合ってるが目線が全く合ってない!というシーンがあった(気がする)がそれに似た感動がありました(´・ω・`)

当然何も解決しておらず、吉岡が重なり合った物語の業(悪意)を一身に背負ってフェードアウトしたので爆笑しました。物語内の登場人物がどんなに頑張っても、監督の一言で唐突に終わる…これも…運命
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